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​情報紙 SECOND

SECOND Column Page

​神主四方山話

Vol.10

​久留米宗杜 日吉神社
禰宜  久富 貴文

神道では産霊という言葉を「むすひ」といいます。色々なものが生まれムスばれるという「むすひ」は「ムスビ・結び」に繋がっていきます。「むすひ」の力の源はタカミムスビノ神・カミムスビノ神のお働きによるものといわれます。我が国の四大人国学者(日本の古典を研究する人)といわれる本居宣長翁の『古事記伝』の中に「さて世間に有りとあることは、此ノ天地を始めて、萬ッの物も、事業も悉に皆、此ノ二柱の産巣日(ムスビ)ノ大御神の産霊に資りて成り出でるものなり」とあります。同じく『玉鉾百首』には「諸の成出る本は神産巣日、高御産巣日の神の産霊(ムスビ)ぞ」と詠じられています。日吉神社の摂社 産霊宮はこの「むすひ」の二柱の神の霊徳を仰いで建立されました。よもやま、産霊宮にお参りすると外陣の扉の前にお米やお酒がお供えされているのを確認出来ると思いますが、外陣の扉にピッタリとくっついている案(神社で使う机)が親指ほど移動していることがあります。この産霊宮にお祀りされている神様の一柱にカミムスビノ神の子のスクナヒコナノミコトという神様がいらっしゃいます。とても小さなお姿をされているそうです。きっと少し扉を開けられ参拝されている皆様に「むすひ」の御神徳をおわかちになられているのだと思っています。これからの季節には、あちらこちらに新緑が芽生えはじめ産霊の力を目にすることが出来ます。
 
では皆様日々お健やかにおすごしくださいませ。

​神主四方山話

Vol.9

​久留米宗杜 日吉神社

禰宜  久富 貴文

境内の梅の花が開いてきました。暦の上では2月4日ころの立春から春とされます。この2月前後に「春」を体感する時がよくあります。何だか今「春」だ、目の前に「春」がいる。或いは「春」とすれ違ったな。最初にそう感じたのは神主資格のために上京し通っていた大学の卒業をひかえた頃でした。当時住んでいた町のことを何にも知らなかったなと思い、アルバイトが終わってからよく散歩することにしました。「春」を表す言葉に長閑(のどか)とあります。空が晴れて天候が穏やかな様子だそうです。散歩をしていると確かに長閑でした。空気が晴れたような暑くも寒くもなく心地よさを感じました。これには冒頭のように花の匂いも含まれていたかもしれません。この心地よさを感じる時、恰も目に見えない大きな「春」の気がノシノシと歩いていて、その「春」にふれているのかなと思っています。春の気に遭遇した時は大きく深呼吸して胸の奥まで気を入れるようにしています。2月3日は節分です。日吉神社でも毎年節分行事がおこなわれています。とくに夜に行事の後片づけをしていると、ノシノシと近くにいるのを感じます。年に二回ある季節の分かれ目の日、この日は邪気をおいはらうため豆をなげます。邪気という表現が使用されているのだから、きっと長閑な「春」の気も存在する。鬼は外、福は内です。

 

では皆様日々お健やかにおすごしくださいませ。

​神主四方山話

Vol.8

​久留米宗杜 日吉神社

禰宜  久富 貴文

 新年明けましておめでとうございます。平安時代より久留米に御鎮座される久留米宗社日吉神社は、今年も皆様の平安と繁栄をお祈りしてまいります。皆様も新年にあたり御神前に参拝されて、日吉の大神さまの広大無辺なる御恵みを戴かれ、御家庭では神棚に手を合わせられ、心豊かで充実した感謝の日々を送られますようご祈念申し上げます。1月3日は午後3時より女性の守り神さま産霊宮にて、子授け・安産・縁結びを祈願する初三日祭が行われます。

 さて、神主にとって一年の内で最も忙しいお正月がやってまいりました。12月31日は夕刻より大祓い神事を行い、一年間お参りさせていただいた御神札や御守をお焚き上げしながら、アルバイトのお巫女さんたちと最終的な準備作業を行います。そして年越しそばをいただき体力を充電します。参道には新しい年を迎えられるお参りの方々が列を作っています。0時ちょうどに時を知らせる大太鼓を宮司が打ちます。ドーンと鳴る音と同時にあちらこちらで「明けましておめでとうございます」という良い言霊の御挨拶が聞こえてきます。お正月を迎えると不思議と力がみなぎってきます。ぜひ氏神さまにお正月のお参りをされて、新しい年のお力をいただかれてください。

 

今年も皆様日々お健やかにおすごしくださいませ。

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