top of page
コラムページアイコン.jpg
​情報紙 SECOND

SECOND Column Page

vol.25「顔認証システム」
野中成利税理士事務所 野中 成利

 不思議に思ってることがある。バーコード決済(QRコード決済)についてだ。

 いつの間に世の中に蔓延したのだろうか。日本でこれほど流行る数年前に、中国では現金をほぼ使わずに決済をしているというニュースを見た。砂埃が舞う中国の片田舎の道路。ロバが気だるく荷物を引いている。道端でスイカを売っているおじさんから、テレビクルーがスイカを買うと、QRコード決済するように促される。おじさんが持っている紙のQRコードを読み取ると支払いができる。テレビクルーは、中国のこんな片田舎でスマートフォンを使った決済が行われているとその驚きを伝えてくる。説明によると、中国では現金の信用度が低く、クレジットカードのような決済端末がいらないQRコード決済が人気だと言っていた。

 それから、数年の月日が経ち日本でもQRコード決済が大手を振っている。便利だとのことだが、とても不思議だ。だって我々の持っているスマートフォンには、9割以上にICチップ(Felicaチップ)が搭載されてる。支払いをする際は、レジ端末にスマートフォンを端末に押し当てれば決済できる。

 QRコードを画面に表示させて光学装置で読み取ってもらうのと、スマートフォンを端末に押し当てる、どちらが早いかと言われれば、断然後者の方である。

 私は技術的な優位性や利便性の優劣によらずに、あるものが主流になることは大変に不思議だなと思わずにはいられない。

 電車に乗るときに、改札を通るときにはスマートフォンのタッチ決済機能を使う人が多い。もしも、電車の改札をQRコード決済にしたら改札の前は渋滞の列になるだろう。

 しかし、何故か一般店舗の支払いにはQRコード決済が優勢となってきた。もちろんQRコードには店側にとって設備投資が不要という利点がある。専用リーダーやタブレットを用意せずに、先のスイカを売るおじさんのように、QRコードを貼りだすだけで決済を受けられるからだ。

 現金からキャッシュレスに移るのは今後も続くだろう。どこの国の紙幣にも人の顔が描いてある。人間は人の顔を見分けることに慣れているため、誰かが偽札を作ったとしても、肖像画の細かな違いに人間はすぐに気づくことができるそうだ。もし、これが人の顔でなくて動物の絵だけだと人間はその違いに気づき辛くなる。

 財布の中に入っている福沢諭吉の顔を見て、いつまであなたは居れるの?と訊ねてみた。きっと近い将来には福沢諭吉の顔を見てニンマリすることも無くなるのだろう。顔認証システム搭載の私は時代遅れなのだろうな。

bottom of page