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​情報紙 SECOND

SECOND Column Page

Dr.わーだーの養生記
vol.60「誤嚥で窒息するのは人類だけ」
心血医院 院長 和田 豊郁
救急車が窒息事故で出動する回数は交通事故の2倍以上。多くは食事中に起こりますから、まさに身近なところで起こる緊急事態です。息を吐いたところでのどに詰まることが多いので吐き出せないのです。魚類や鳥類、爬虫類は丸呑みが基本ですが窒息しません。哺乳類は噛み砕いて飲み込みますが人類以外は口の突き当たりのすぐ下に気管の入口のふた(喉頭蓋)があるので飲み込むとすぐ食道に入って行き窒息しません。人類は舌根の先に喉頭蓋があるため飲み込んでも食べ物が貼り付いたり詰まったりする場所があるのです。そのおかげで複雑な音声を発することができます。窒息の原因の1位は餅ですが、寿司や団子はともかく、ごはんやパンやおかゆも重症窒息事故の原因となっています。乳歯は前歯から生えてくるのにそれを使わずにスプーンで食べる食習慣。前歯で噛んで口の中に食べ物を入れればしゃべることだってできる量しか入りません。たこ焼きを一口で、はアブナイ!前歯を使って食べましょう。

Dr.わーだーの養生記

vol.59「高血圧と脳出血と認知症」
心血医院 院長 和田 豊郁

国民の血圧の調査が始まったのは1956年。当時の死因の第一位は脳出血。多くは血圧が高かったので死を免れた人は再発予防のために降圧剤を飲みましょう、ということになり『血圧の薬は飲み始めたら一生のまないといけない』という都市伝説が生まれました。調査が始まった頃の年齢10歳ごとの平均血圧はおよそ『年齢+100』で、これを年齢標準と理解した人が多く、脳出血も歳のせいと考えた人が多かったものです。親族に高血圧や脳出血の人がいると発症しやすい家族性があることも分かり、減塩指導や良い降圧薬の登場で現在では高齢者でも平均血圧は140mmHg台となりました。最近では発症も救命率も上がりましたが皆さん高血圧の治療をしっかりしておけば良かったと言われます。出血しなくても高血圧は放置すると必ずまだら認知症になり、治療に応じず、わがままで社会性がなくなり、自分も人も言うことを聞いてくれない、怒りに満ちた老後を覚悟しなければなりません。そうなる前に!

Dr.わーだーの養生記

vol.58「手が温もらないのは」
心血医院 院長 和田 豊郁
誰でも寒空の下に出たらすぐに手は冷たくなり、寒くて手が冷えた、と思います。しかし、温かい室内に戻ってもすぐには温もりません。実は手は血液の冷却装置。寒さに神経が反応して手に行く血管を縮めるのです。冷たい空気や水で冷えるのではなく、体温維持のために血が通わなくなるのです。ですから長いこと寒いところにいたら元々手に通っていた分の血液は血管の中から消えてしまいますから、手を少々温めてもすぐには手に行く血管は広がってくれません。手に通う血液を増やすには水分も必要ですが、からだに余分な熱がないといけません。筋肉が動けば熱と水が同時に発生して好都合なのでガタガタ震えたりしますが、汗をかきそうな運動はなかなかできません。からだを温めようと、冷え切ったまま入浴すると血管は広がりますが血液は増えていないので湯から出ると水圧がなくなって血圧が下がるので危険。体温より温かいものを飲食して水と熱の補充をしましょう。香辛料を使うとなお温まります。
Dr.わーだーの養生記
vol.57「クマの1年は人間の1日」
心血医院 院長 和田 豊郁
 東日本を中心にクマが人里に出ています。クマは寒くなると食べ物がなくなるため秋に食い溜めをして冬眠に入り、春に目醒めたら自分で食べ物を探さなければなりません。ですから冬眠に入る前には冬眠中だけでなく目覚めた後に動き回れるだけの養分を蓄えます。クマにはそういう智惠や知識があるわけではなく本能のなせるワザです。
 現代人には肥満と戦っている人がかなりいるわけですが、余分に食べなければ、あるいはしっかり運動をすれば太らないことは知っていてもうまく行きません。人間は元々狩猟採集を行う動物です。食料を得るのに必要なエネルギーが残った状態で目覚めるのです。現代生活には保存食があります。狩猟採集に出なくても食べられるのです。このため朝食時にエネルギーが余ることになるわけです。冬眠に入る前のクマと同様、次の日に狩猟採集ができるよう日中~寝るまでの間に食べるのは本能です。これを毎日続けているのですから太らないわけがありません。
Dr.わーだーの養生記
vol.56「転んでケガをしないために」
心血医院 院長 和田 豊郁
接触を伴うスポーツでは簡単には転びません。相撲は転んだら負けです。バスケットボールでも柔道でもボクシングでも腰を落として膝を曲げて顔は前方を向いて構えます。バレーボールでもテニスでも野球の野手もボールが飛んで来るのを待ち受けるポーズはほとんど同じ。すぐに反応して動け、だから転ばないのです。日本舞踊も能楽師も歌舞伎役者も皆同じ。料亭の仲居さんは両手でお盆を持ち足元が見えない状況で料理やお酒を揺らさずに運ぶ仕事です。やはり腰を落として膝を曲げたまま顔は前方を向いて当たり前の速さで歩きます。人をおぶって歩くときも同じポーズになるでしょう。
さて、それでも転びそうになったら?先に手を出してはいけません。しゃがむのです!こうすると最悪でもしゃがんだ状態から前後に転ぶだけですからせいぜいアイタ!で済みます。以前やったことのあるからだの使い方ですから無理と思わずに少し練習すればすぐにできるようになります。がんばりましょう。
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