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​情報紙 SECOND

SECOND Column Page

ボスエリ日記 -うんこのお供-

Vol.15
cafe&BAR La Mer(ラ・メール)
iPhone 即日修理屋さん 久留米店
​店主 田中 英里

ちょっと前、10年前の元カレが飲みに来た。5年くらい同棲して、あたしといるよりは巣立った方が伸びると思っての別れでその後も仲が悪いわけではない。タバコを吸っている。あたしと付き合ってからやめたのに。

「せっかくやめたのに。そのままやめりゃよかったのに。」

「ん?俺タバコやめたことないよ?えりちゃんが嫌いだったから目の前で吸わなかっただけで、ずっと内緒で吸ってたよ。」

「エエエ!ほぼ一緒にいたやん!普通バッグやポッケに入れてたり、チューしたりしたらわかるやろ!」

「俺もそう思ってたんだけどねー。意外とバレんかった。」

「‥そうか。‥この際他に隠し事あったなら白状しなさい。」

「そうねー。そんなにないけどねー。あ!浮気は何回かしたかな。」

「エエエエエ!そんなバナナ!」元「えりちゃん浮気はしていいって言いよったやん。」

そうだった。本気なら嫌だけど浮気ならいいと言ってた。男と女は生物学的に違う生き物だからね。一夫一妻制でやるから少子化とか皇室問題とか起きるんよ。甲斐性ある男は何人でんありよ。女は選ぶ立場だからさ。言い寄ってくる男の中から(これだ!)と思うやつを選べばいい。現代っ子は本当にガツガツしていない男の子が多く、うちに飲みに来る男達には常日頃「ガッツをだせ!」と言っている。あたしの周りに昔流行った「草食系」が好きなんて女は1人もいない。人類が生き残るためには男は肉食であらにゃ。今もたいして思いに変わりはないんだけど、当時もそうは言いつつ、浮気をしているとは微塵も思わなかった。理解ある女ぶって、ただ鈍感なだけだった。彼がうまかったのか?いやあたしの鈍感力が勝ろう。おかげで実に楽しい5年間だった。別れて10年経って次々衝撃の事実を知る。わかっちゃいるけど、モテない男は好きじゃないんだよなあ。自分が50で独身の理由が改めてわかった気がした。はらたつのり。

ボスエリ日記 -うんこのお供-

Vol.14
cafe&BAR La Mer(ラ・メール)
iPhone 即日修理屋さん 久留米店
​店主 田中 英里

昨年末、友人とクリスマスプレゼント交換をした。ヤマダ電機に行って、「良識の範囲内」という設定で欲しい物を探した。結果友人は「まつ毛ホットビューラー」を買ってくれと言う。誰が50女のまつ毛見るんかい!という思いを抱きながら買ってやった。あたしが買ってもらったのはスマホで耳の中が見える耳かき。帰ってひとり大興奮!50年知らなかった自分の耳の中を見た!

「ギャーッ!」

耳毛を超えた先にブツが見える。あたしは耳かきしない人。なぜなら耳鼻科に行きたいから。10年くらい前、耳がずっとガサガサするから我慢できなくて耳鼻科に行ったら「鼓膜に張り付いてる。これは取れないよ。」と先生がワンツーで取ってくれたんだけど、それがもう近年稀にみる快感。スーパーホソホソバキューム機で、脳みその真ん中を吸われるようなあの感覚。先生は中が見えた上で吸ってるので痛くもない、無駄がない。プロの耳そうじに、素人の耳かきがいかに無駄だらけか実感した。その後なるべく耳かきをしないようにして鼓膜に張り付かないかなーと狙っているけど、1回もなってくれない。友人の耳鼻科医に相談したら「耳そうじだけで来る人おるよ?」と言うので恥ずかしながらたまに耳鼻科に行くようになった。そんなあたしがスーパーアイテムを手に入れたのだ。しかし中身が見れるのと取れるのは違った。慣れたら上手く使えるようになるのかな。とにかく高性能カメラのおかげで中は見えるけどうまく取れない。方向わからんし!奥まで行けんし!なによりあの快感はないし!やっぱりスーパーホソホソバキューム機じゃないと無理なんやろ!耳毛も気持ち悪いし、余計ストレスがたまることに気付いた。まぁこれからは中確認できるしな。やっぱり耳鼻科行こう。

ボスエリ日記 -うんこのお供-

Vol.13
cafe&BAR La Mer(ラ・メール)
iPhone 即日修理屋さん 久留米店
​店主 田中 英里

 私が住む町は修羅の国久留米市。全国ニュースに出る時はたいてい犯罪がらみ。そんな町では自転車窃盗などお茶の水博士。若い子が平気で「セッチャ」などの言葉を使い気軽に乗っていく。鍵をかけていてもあまり意味ない。防犯登録をしていて戻ってくることはあってもボロボロになっててもう使い物にならない。1度市内で盗まれた自転車が長門石で発見されて、帰りは自転車だしと歩いて取りに行ったら乗れる状態ではなく、引いて歩いて帰った。筑後川なめんなよ。往復はやんなるほど長かった。ナイル川に感じたよ。

 何度もそんな目に遭ったけど、やはり自転車はいる。今回買ったのはコンパクトな深緑のかわいい自転車。3階の自宅の前まで持って上がりたいから。でもコンパクトなだけにより盗られやすい。今回は真剣に防犯対策を考えた。最終的に辿り着いたのは心理作戦。ホームセンターで赤い油性ペンキを買ってきた。そして自転車の書けるスペースにすべて「うんこ」と書き殴った。

 それから8年、うんこ号は一度も盗られることなく、ボロボロになるまで走り続けた。終盤は鍵をかけてなくても盗られなかった。私は勝った。心理作戦は見事に成功したのだ。自転車を盗むような恥ずべき人間すら乗りたくない自転車を。「恥ずかしくない?」と聞かれても全然平気。乗ってる時は見えないし、何より私は自分の愛車を守るためにしているのだから。ヤカラとの闘いなのだから。

 ということで私は身をもって証明をしたので、いつもこの作戦をみんなに推奨しているのだが、誰1人まねをした人はいない。8年もの時間を費やした壮大な作戦を勝利に導いても、人の心に響くとは限らない。

ボスエリ日記 -うんこのお供-

Vol.12
cafe&BAR La Mer(ラ・メール)
iPhone 即日修理屋さん 久留米店
​店主 田中 英里

あたしはそこそこ人間だ。

そこそこなんでもできるが、抜きん出るほどできない。あと一歩伸び悩む残念なタイプ。チビッコの頃から勉強もスポーツもそこそこだった。

でも卑下しているわけでもなくて、50にして、いろんなことがそこそこ人よりできる自信もついた。

あたしはそこそこお酒が飲めるし、カクテルも作れるし、iPhoneも直せるし、元物書きだけど今も物書きのつもりだし、皮職人でもあるし、うぐいす嬢もできるし、華道の教授の免許も持っている。そこらの人よりはできることが多い方だと思う。

だからダメなところもいっぱいあるけどなめんなよ。このままで終わると思うなよ。

世話になった恩は忘れない。今はダメだけど、いつかそこそこをもっと極めて、必ず恩を返す。でも世話にもなってない上にあたしよりできない奴が上から言ってきたら、表向きは普通の顔してても内心(おとといきやがれ!)と思っている。

あたしはうっかりいい人と思われがちだけど、実は天国に行けない腹黒い人間だ。

死神がイ・ドンウクみたいな男だったらいいなあと常々思っている。

2024年、今年もいいご縁がたくさんありますように。

ボスエリ日記 -うんこのお供-

Vol.11
cafe&BAR La Mer(ラ・メール)
iPhone 即日修理屋さん 久留米店
​店主 田中 英里

少し前、常連さんが高校生の娘さんを連れて来た。

娘さんはいちご姫にエントリーしているらしく、投票してほしいとのお願いだった。

いちご姫とは久留米に昔からある高校生のミスコンみたいなやつね。

「いいよいいよ!任せとけ!」

カウンターのお客さん達も巻き込んでみんなで投票する。

エントリーしてる子達が載ってる冊子を眺める。ふむふむ。みんな可愛いけど、やっぱり初対面なのに目の前にいる彼女にひいき目。

「Kちゃん実物の方がカワイイよ!写真写りイマイチ!ちゃんと写真館で撮ってもらわにゃ!うちのお客さん腕のいいカメラマンよ。早くわかってれば頼めたのに!」

K「そうなんですかー。ちゃんと写真館で撮ってもらったんですけど。ほら。」

写真を撮ってもらっている時、お母さんが撮ってくれたという写真を見せてくれた。見覚えある背中。

「これどこ?」

K「○○写真館です。」 

「‥‥。」

わざわざ写真写り悪いとかいちゃもんつけて。わざわざうちのお客さんなら腕がいいのにと自慢して。言わなくていいことばかり言って。

結果、彼女のエントリー写真は彼が撮っていた。その確率を知りたい。

その場にいる全員が何とも言えない顔をした。女子高生は苦笑いも可愛い。

あたしには残念な才能がある。

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