
情報紙 SECOND
SECOND Column Page
あの頃の味。
これからの味。
vol.10「華と実( 先人の言葉 後編 )」
100年 Design
それぞれの芽に日の光が届くように、
適当に移し替えてあげるのですよ。
最初に水を受け留めるのが土の仕事です。
いい塩梅の水が混じった土がある。
風に運ばれ種が降りる。
それぞれに日の光が届く。
そこではじめて、物事が創まるのです。
華が咲くまで。実が成るまで。種が取れるまで。
自分のために。家族のために。
みんなのために、育てていく。
その一つ一つを積み重ねていくのです。
お米を見てみたら、わかるでしょう。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
そうして、いつまでも、
足元の土を気にかけていくものです。
あの頃の味。
これからの味。
vol.9「華と実( 先人の言葉 前編 )」
100年 Design
華を取るなら、実を残しておきなさい。
一度華を取ると決めたら、
とにかく華やぐことです。
周りの人が自由に動く時間をつくるために。
実を取るなら、種を残しておきなさい。
その種から芽が出るまで、
その実を大事に使いなさい。
華を取るか。実を取るか。はどちらか一方。
華も実も取ると種がとれなくなり、
次の人が困るでしょう。
風は種を運ぶこともありますが、気まぐれです。
風は通るから風なのです。
だから、風通しが善くなるように
いつでも土地を畊しておきなさい。
種も必ず芽が出るわけではないのです。
芽が出ても、華が咲かないこともあれば、
実がならないこともあるでしょう。
( 後編へ続く )
あの頃の味。
これからの味。
vol.8「皿洗いの醍醐味(後半)」
100年 Design
お店が閉店時間をむかえると、皿洗いは次のフェーズへと移る。
まだまだ皿洗いは終わらない。むしろ、ここからが皿洗いの真骨頂である。
客席・お座敷・カウンター・厨房と順に電気が消され、洗い場と収納棚の明かりが残る。
今までと打って変わって、ただ黙々と皿を洗う。
洗い場をみんなで囲み、身を寄せ合いながら黙って皿を洗う。
そこで私語は許されない。手に触れた皿から一秒でも早く、ただただ綺麗に洗いきる。
どの小皿を洗うのか?どのタイミングで大皿にいくのか?いつ、だれが、大物の調理器具を洗うのか?
お互いのリズムを、お湯の流れの中から感じ取る。
業務用エレベーターが大量の小皿を乗せて2階から降りてくる。
動揺することなく、小皿が敷き詰められたバットごと洗い場に小皿を沈める。
そしてまた、ただ黙々と皿を洗う。
皿洗い機の機械音だけが厨房に響く。きっと、必ず終わりがくる。その瞬間を信じ、ただただ皿を洗う。これが皿洗いの醍醐味である。
あの頃の味。
これからの味。
vol.7「皿洗いの醍醐味(前半)」
100年 Design
お盆やお正月には、家事手伝いと称した
「お店の皿洗い」が恒例行事となっていた。
当時では珍しいオープンキッチン。
皿の洗い場は厨房の一番奥にあり、
厨房、カウンター、客席や座敷まで
お店全体がよく見渡せた。
皿を洗いながらも、客席がよく見える。
「3番テーブルさん、お水のおかわり欲しそうです」とか
「7番テーブルさん、オーダーかもしれません」とか
皿を洗いながらも、厨房がよく見える。
「お座敷4番さん、ちゃんぽん上がってます」とか
「次のちゃんぽん、3枚でお願いします」とか
(3枚=3人分を一度に一鍋で調理すること)
皿を洗いながらも、みんなの動きがよく見える。
「今回のバイトさんは、仕込みの準備が上手だな」とか
「なるほど、そっちから先に調理を始めるのか」とか
手を動かしながら、まわりを見る。
まわりを見ながら、手も動かす。
手を動かしながら、話をする。
話をしながら、手も動かす。
さまざまな声が聞こえ、その声に応える。
これが皿洗いの醍醐味である。
(後半に続く)
あの頃の味。
これからの味。
vol.6「お駄賃とバイト代 」
100年 Design
子どものころは、「家のお手伝い」として、お駄賃をもらうことがよくあった。ゴルフボール拾い。テニスコートの水かき。自動販売機のジュース補充。皿洗い。お駄賃をもらえることもあれば、もらえないこともある。忘れたころに、ある日突然、まとめてもらえることもある。金額もまちまちで、たぶん、気まぐれである。中高生になると、「家のお手伝い」も、それなりの仕事量になってくる。お盆休みの皿洗い。お正月のお節。「家のお手伝い」である皿洗いは、深夜になっても終わらない。「家のお手伝い」であるお節の盛り付けは、プレッシャーが半端ない。ある時、ふと気が付く。いつの間にか、仕事量がお駄賃の域を遥かに超えていることに・・・。そして、ある時、ふと気が付く。他の子たちは、同じ仕事量で、バイト代をもらっていることに・・・。「バイト代ってもらえるの?」そんなことを聞いてみると、気づいちゃった?という顔つきで「へ~、バイトにしたいの?」。これを機に、お駄賃がバイト代へと格上げされた。お駄賃よりも目途がたつバイト代はとても便利で、部活道具に代わっていった。しばらくして、ふと気が付く。いつの間にか、あらゆる方面からのお駄賃がなくなっていることに・・・。そして、やはり、ふと気が付く。今や、ちびっ子たちにお駄賃をねだられる側になったことに・・・。「お駄賃、もらえなくなったね。」そんなことを言ってみると、気づいちゃった?という顔つきで「だって、バイトしてるでしょ」。なるほど。世界はそういう仕組みなのだ。
あの頃の味。
これからの味。
vol.5「ふりかえり編」
100年 Design
先代たちとの話に想いを馳せながら、
その言葉たちを「相関図」としてまと めました。

・「貧」ーSECOND 2024年6月号 掲載
・「幇と会館」ーSECOND 2024年7月号 掲載
・「貧」を取り巻く「幇と会館」ーSECOND 2024年8月号 掲載
・「断と縁」ーSECOND 2024年9月号 掲載