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​情報紙 SECOND

SECOND Column Page

あの頃の味。
​これからの味。

vol.9「華と実( 先人の言葉 前編 )」
100年 Design

華を取るなら、実を残しておきなさい。

一度華を取ると決めたら、

とにかく華やぐことです。

周りの人が自由に動く時間をつくるために。

 

実を取るなら、種を残しておきなさい。

その種から芽が出るまで、

その実を大事に使いなさい。

 

華を取るか。実を取るか。はどちらか一方。

華も実も取ると種がとれなくなり、

次の人が困るでしょう。

 

風は種を運ぶこともありますが、気まぐれです。

風は通るから風なのです。

だから、風通しが善くなるように

いつでも土地を畊しておきなさい。

 

種も必ず芽が出るわけではないのです。

芽が出ても、華が咲かないこともあれば、

実がならないこともあるでしょう。

 

( 後編へ続く )

あの頃の味。
​これからの味。

vol.8「皿洗いの醍醐味(後半)」
100年 Design

お店が閉店時間をむかえると、皿洗いは次のフェーズへと移る。

まだまだ皿洗いは終わらない。むしろ、ここからが皿洗いの真骨頂である。

客席・お座敷・カウンター・厨房と順に電気が消され、洗い場と収納棚の明かりが残る。

今までと打って変わって、ただ黙々と皿を洗う。

洗い場をみんなで囲み、身を寄せ合いながら黙って皿を洗う。

そこで私語は許されない。手に触れた皿から一秒でも早く、ただただ綺麗に洗いきる。

どの小皿を洗うのか?どのタイミングで大皿にいくのか?いつ、だれが、大物の調理器具を洗うのか?

お互いのリズムを、お湯の流れの中から感じ取る。

業務用エレベーターが大量の小皿を乗せて2階から降りてくる。

動揺することなく、小皿が敷き詰められたバットごと洗い場に小皿を沈める。

そしてまた、ただ黙々と皿を洗う。

皿洗い機の機械音だけが厨房に響く。きっと、必ず終わりがくる。その瞬間を信じ、ただただ皿を洗う。これが皿洗いの醍醐味である。

あの頃の味。
​これからの味。

vol.7「皿洗いの醍醐味(前半)」
100年 Design

お盆やお正月には、家事手伝いと称した

「お店の皿洗い」が恒例行事となっていた。

当時では珍しいオープンキッチン。

皿の洗い場は厨房の一番奥にあり、

厨房、カウンター、客席や座敷まで

お店全体がよく見渡せた。

皿を洗いながらも、客席がよく見える。

「3番テーブルさん、お水のおかわり欲しそうです」とか

「7番テーブルさん、オーダーかもしれません」とか

皿を洗いながらも、厨房がよく見える。

「お座敷4番さん、ちゃんぽん上がってます」とか

「次のちゃんぽん、3枚でお願いします」とか

(3枚=3人分を一度に一鍋で調理すること)

皿を洗いながらも、みんなの動きがよく見える。

「今回のバイトさんは、仕込みの準備が上手だな」とか

「なるほど、そっちから先に調理を始めるのか」とか

手を動かしながら、まわりを見る。

まわりを見ながら、手も動かす。

手を動かしながら、話をする。

話をしながら、手も動かす。

さまざまな声が聞こえ、その声に応える。

これが皿洗いの醍醐味である。

(後半に続く)

あの頃の味。
​これからの味。

vol.6「お駄賃とバイト代 」
100年 Design

子どものころは、「家のお手伝い」として、お駄賃をもらうことがよくあった。ゴルフボール拾い。テニスコートの水かき。自動販売機のジュース補充。皿洗い。お駄賃をもらえることもあれば、もらえないこともある。忘れたころに、ある日突然、まとめてもらえることもある。金額もまちまちで、たぶん、気まぐれである。中高生になると、「家のお手伝い」も、それなりの仕事量になってくる。お盆休みの皿洗い。お正月のお節。「家のお手伝い」である皿洗いは、深夜になっても終わらない。「家のお手伝い」であるお節の盛り付けは、プレッシャーが半端ない。ある時、ふと気が付く。いつの間にか、仕事量がお駄賃の域を遥かに超えていることに・・・。そして、ある時、ふと気が付く。他の子たちは、同じ仕事量で、バイト代をもらっていることに・・・。「バイト代ってもらえるの?」そんなことを聞いてみると、気づいちゃった?という顔つきで「へ~、バイトにしたいの?」。これを機に、お駄賃がバイト代へと格上げされた。お駄賃よりも目途がたつバイト代はとても便利で、部活道具に代わっていった。しばらくして、ふと気が付く。いつの間にか、あらゆる方面からのお駄賃がなくなっていることに・・・。そして、やはり、ふと気が付く。今や、ちびっ子たちにお駄賃をねだられる側になったことに・・・。「お駄賃、もらえなくなったね。」そんなことを言ってみると、気づいちゃった?という顔つきで「だって、バイトしてるでしょ」。なるほど。世界はそういう仕組みなのだ。

あの頃の味。
​これからの味。

vol.5「ふりかえり編」
100年 Design

先代たちとの話に想いを馳せながら、

その言葉たちを「相関図」としてまとめました。

100年デザイン_2024年10月号.jpg

・「貧」ーSECOND 2024年6月号 掲載

・「幇と会館」ーSECOND 2024年7月号 掲載

・「貧」を取り巻く「幇と会館」ーSECOND 2024年8月号 掲載

・「断と縁」ーSECOND 2024年9月号 掲載

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顧問弁護士:ことまる法律事務所
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