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​情報紙 SECOND

SECOND Column Page

ボスエリ日記 -うんこのお供-

Vol.25
cafe&BAR La Mer(ラ・メール)
iPhone 即日修理屋さん 久留米店
​店主 田中 英里

たまたま早めに開けてた20時半すぎに予約もなしにひょっこり現れるじいさん。

「ここはiPhone修理屋さんですか?」

「そうですよ。」

「実は壊れてはないんですけど、容量がいっぱいみたいで。新しく中古を買ったんですが、データの移行ができなくて。してほしくて。」

「うちは修理屋なのでそういった作業はしてないんですが。まぁいいでしょう。」iPhone7。32G。写真も2000枚以上あって、無駄にアプリもありまくる。そりゃキツイでしょうよ。

「で、この新しい機種は何ですか?」

「7です。」

「えええ!まさかの同じやつ?!」

「慣れた機種の方がいいかなと。でも容量は64Gです。」

「お父さん!得意気ですが、せめて8とかSEシリーズでしょ!64Gって。時代はテラですよ。屁です。屁。」

とりあえず簡単に移行するにもiOSを最新にしなくてはならない。少し空き容量を作らないとアップデートもできない。これがまた結構時間のかかる作業。そうこうしているうちに普通にお客さんも来始めてラメールも動き始める。おい、じいさん。今日は土曜ですよ?こんなことしとる場合じゃないんですよ?

「ちなみにこの作業はおいくらかかりますか?」

「データ移行はうちの料金表にはありませんからね。3000円でいかが?」

「ありがとうございます。では今コーヒー頂いていますが、ここでお酒を頂くと、お店の売り上げになるということですか?」

「当然です。」

「ではビールにします。ついでにおねえさん忙しそうですが、1杯ご馳走することもできるんですか?」

「当然です!」

ようやく前機種のアップデートが終わって移そうとしたら今度は新しい7もアップデートしろという。確かにそうなるよね。のちのち師匠に聞いたら、そんな時間も手間もかかる作業5000円はもらっていいと言う話だった。でもまぁ飲み代込みで6000円払って行ったのでよしとしよう。

「本当にありがとうございました。今度友達連れて飲みに来ます。」

「体に悪いのでお酒はやめましょう。」

「ハハハ!」

結局3時間くらいいたけど修理はしてない。どういう話だ!

ボスエリ日記 -うんこのお供-

Vol.24
cafe&BAR La Mer(ラ・メール)
iPhone 即日修理屋さん 久留米店
​店主 田中 英里

新年あけましておめでとうございます。2025年はどんな年になるのやら。人間というのは自分探しの道というか、模索し続ける生き物だと思う。振り返る。小学校の頃は警官になりたいと思っていた。(悪いやつをやっつけたい)という思いだったが、なんとか法に触れないギリギリのところで生きる社会不適合者になるとは思ってもいなかった。中学校から高校にかけては学校の先生になりたいと思っていた。未来ある若者を導くって尊いと思っていたけど、これまた昼夜逆転の飲んだくれ51歳になるとは思ってなかった。短大の頃は放送作家というか、構成作家というか、物を書いたりドラマを作ったりするのが好きだったのでそういう仕事が向いてるのではと思ったが、その方向にいくには勉強が足りなかった。せめてちゃんとした大学に行けばよかった。社会に出て実はものづくりが好きなので、普通の仕事より後継者いなくて大変な伝統職人とかの道をいろいろ調べていたが、行動を起こすまでの情熱が足りなかった。いろんな仕事をした結果、人が好きで、お酒が好きで、しょうもない話が好きで、飲み屋をはじめたら25年経った。1番続いた。しかしここにきて修理業が好きなことにも気付く。酔っ払いに「ブスブス」言われて偉そうにされるより、困った人を助けられて感謝されることがすごく嬉しい。気持ちがいい。やりがいがある。結果現在あたしに向いているのはエンジニア(機械工)ではないかに着地している。51才、いろいろやりたいことが変わったおかげで、お酒がわりと飲めて、iPhoneが直せて、ウグイス嬢もできて、コラムの連載もさせてもらえて、皮職人もできるおしゃべりクソババアBARの店主ができている。この先もまだ変わることもあるだろう。突然突拍子もないこと言い出しても応援してね。人生は未知数。

ボスエリ日記 -うんこのお供-

Vol.23
cafe&BAR La Mer(ラ・メール)
iPhone 即日修理屋さん 久留米店
​店主 田中 英里

 あたしはたまに麻雀をする。麻雀は頭も使うし、手先も使うし、センスも使うし、運も使うし、お金を賭けたら賭博罪になるから聞こえは悪いけど、最強の総合格闘技だ。

 麻雀強いってだけであたしの中では相当株が上がる。好きになっちゃう!

 お父さんが好きだったから小さい頃からたまに家族でやってたけど、その頃はただの絵合わせゲーム。

 大人になって、会社のオヤジ達がやってるって知って、調子にのって「私もできます!」くらい言ったら痛い目に遭った。その時あたしが知ってたのはドンジャラだったと気付いた。それからネット麻雀をひたすらやって、役を全部覚えて、オヤジ達にチャレンジしてた。今思えば段持ってたり、○○新聞社杯で優勝したことあるすごい猛者達だった。まさに知らぬが仏。たいがい可愛がってもらったよ。毎年正月2日はセット麻雀をするのが恒例だったけど、今年はとうとう開催できなかった。なぜなら次々死ぬから。麻雀オヤジはタバコも酒もする人ばっかだし、寝ないし。なにぶん豪快な生き方だから長生きせんのよね。

 昔は店の横の隠れ部屋に全自動卓置いてたから健康麻雀教室もしてた。覚えたいって言う人4人集めてね。

 半チャン(1ゲーム)終わるのに1時間半とかかかってた。よくあんなのやってたわ。

 今は隠れ部屋もないし。セットは面倒臭い(4人の大人が集まるってなかなか難しい)からたまにフリー行くくらいよね。

 麻雀するとやっぱりあのオヤジ達の顔が浮かぶよ。当時の仲間あと2人残っとるけど。ジジイになって飲みのお誘いも全然なくなったし、あたしから連絡することもないし、死んでも家族から連絡くるような関係でもないしね。

 待ってろよオヤジ達。そのうち行くからな!

ボスエリ日記 -うんこのお供-

Vol.22
cafe&BAR La Mer(ラ・メール)
iPhone 即日修理屋さん 久留米店
​店主 田中 英里

 小学生の頃、仲良い子がみんなバレー部に入ると言うので私も「バレー部に入る!」と言ったらお父さんに「溺れた時にバレーボールして助かるか?水泳やってれば命が助かることがあるぞ?」と言われて水泳部に入った。

 その後メキメキと得意の微々たる才能を発揮し、市の大会では大会新記録を出したりしたが、今思えば過疎化激しい島根県江津市で競技人口が少なすぎただけ。剣道もそうだ。毎回市の大会では優勝していたが、当時チビッコ女子剣士は片手くらいしか出場者がおらず、いきなり決勝戦で相手が妹だったこともある。試合中に妹が「どうせ私が負けるんだから。あんま痛くせんでよ。」と八百長までしていた。

 あれから40年。暴飲暴食と運動不足で年輪のように脂肪を蓄えた。島根のスポーツ少女が久留米のバームクーヘンデブに変貌した。背もあるので「ぽっちゃり型」というカワイイ表現も使えない。ここらでがんばらねば手に負えないデカクソババアになる。

 ジムにはいろいろ入ってはやめている経験があるのでやめておこう。とりあえず気ままに市民プールに行くことにした。

 泳ぎは達者なはずが50m泳いだだけでゼーゼーなる。昔は何キロだって泳げたのに!仕方ないので50m泳いだら50m歩くを繰り返す。500mで限界だったので、本当は2時間泳げるのだけど、1時間で「今日はこれくらいにしとってやらあ!」と心で捨て台詞を吐いて上がった。

 2時間410円。スタンプ40個で1回無料て!どんだけ行かないかんのよ。10個で1回くらいにしてよ!

 まだスタンプ3個。先は長い。

ボスエリ日記 -うんこのお供-

Vol.21
cafe&BAR La Mer(ラ・メール)
iPhone 即日修理屋さん 久留米店
​店主 田中 英里

 私は結婚もしてないし、子供も産んでないし、働けなくなって、年金もらったり、医療費かさんだり、生活保護もらうようになったら社会のお荷物でしかない。本気で長生きする価値がないと思うので40歳くらいから死に方を考えるようになった。両親を看取ったらもういつでもいい。

 日本はちゃんとした国なので死ににくい。通夜に葬儀に火葬に墓に仏壇に。金のにおいしかしないし、こんな国で死にたくない。

 どういう死に方がベストか。なるべく自然に帰るスタイルがいい。エベレストとかには何百人という遭難した人が氷の中にいるらしいが、遭難するまでが恐ろしすぎて無理。私寒がり。

 サメの出る辺りの海で溺れるというのも考えたが、如何せん島根生まれ海育ち。泳ぎは達者なので本能で泳いでしまう。何よりジョーズ怖すぎるし無理。

 公務員で頭のいい妹に相談したら「おねえちゃんはチベットで鳥葬にしよう。」と言う。チベット密教には山の頂上でハゲタカに食われる風習がまだ残っているらしい。食物連鎖だしハゲタカの命も救える。ベスト。

 なんとかチベットでのたれ死ぬ方法を考えなくては。そんなことを考えていたらあっという間に10年経った。結婚してなくてお父様は亡くなってて、年老いたお母様と2人暮らしという天涯孤独リーチがかかってる友人を「一緒にチベットへ行こう!お金は片道チベット代だけ貯めておけ。あとは全部使おう!」とスカウトした。10年前は「そんなの嫌だ!」と言っていたが、最近はチベット代残しとくと言いはじめた。

 チベットで苦しまずに死ぬ方法をのんびり考えていたらもう数十年生きるかもしれない。まずい。

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顧問弁護士:ことまる法律事務所
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