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​情報紙 SECOND

SECOND Column Page

​神主四方山話

Vol.26

​久留米宗杜 日吉神社

禰宜  久富 貴文

かつて境内の御神木にはフクロウが棲んでいました。宮司である父が手笛で鳴き方をマネすると、フクロウが返事をしてくれていました。子供の時に私も手笛をやってみましたが、父のように上手な音がだせないのかフクロウは返事をしてくれませんでした。今では神社で見かけなくなった珍しい虫もいました。月読宮の横の木には縦長で光沢のある緑色のタマムシがいました。よく綺麗な羽が落ちていたので拾っていたのを覚えています。それから冬になると木にくっついて冬眠しているミノムシ。街中では見かけないタヌキ、たぶん暖かい排水溝にいたんだと思います。タヌキが父を気にいっていたのか、たまに父の元に顔を見せにきていました。珍しいところで家庭やお店から逃亡してきたであろうカブトムシやサワガニ。環境や気候の影響もあってか、以上の生き物は境内で姿を見なくなりました。変わらず姿を見せてくれるのはカラスや猫、それから蝶類。蝶は小さいものから大きな黒アゲハまでたまに見かけます。今年も境内の蝉たちは元気でした。とある11月の暑い日、蝉が地中から出てきて鳴いていたこともありました。

◎神主さんたちから聞いた神道奇談◎

拝殿から人が凄い勢いで飛び出してきた。勾配が急な長い階段を駆け下りるというより、ポーン・ポーン・ポーンと飛び降りていった。鳥居から出たところでぐったりと倒れこんだ。まるで狐のようだった。

では皆様日々お健やかにおすごしくださいませ。

​神主四方山話

Vol.25

​久留米宗杜 日吉神社

禰宜  久富 貴文

◇神道のお盆について◇元から日本にあった神道の祖霊信仰と、海外から日本に伝えられた仏教や道教のお盆信仰が加わり、神道のお盆の習慣が形成されたと云われます。

神道では、故人の御魂は神様がいらっしゃる神社とご家族が暮らす家をいつでも自由に行き来しご家族をお見守りされていると考えられているため、お盆期間中のみ家に帰ってこられるわけではありません。神道のお盆では、ご先祖様に対し他の祖霊神事と同様にご家族や家の繁栄が願われています。

◇よもやま◇お葬式のご奉仕の最中に故人の御霊にむけて祭詞を奏上していました。すると前方が少し眩しくなりました。・・・?私は会場スタッフの方の指が照明のダイヤルスイッチにふれてしまい意図せず前方を明るくしているのかなと考えました。さらに眩しくなります。私は眩しさのあまり右目を閉じたことを覚えています。後半は左目のみを見開いて眩しさに

耐えながら祭詞の奏上を終えました。お葬式も無事に終わったので、私は会場スタッフの方に質問しました。「前方の照明強くしましたか?」すると「まったく触れてもいません」と。私はご先祖様、或いは先に亡くなった方がお迎えにこられた光だったのかなと思いました。今月はお墓参りやご家庭に祀られるご先祖様或いは氏神様の神社に是非お参りくださいね。

では皆様日々お健やかにおすごしくださいませ。

​神主四方山話

Vol.24

​久留米宗杜 日吉神社
禰宜  久富 貴文

6月や7月はあちこちの神社境内に数日の間、緑色の大きな輪が設置してあります。これは『茅の輪』といって茅という植物で作られます。夏の風物詩『茅の輪くぐり』を見つけたら八の字にくぐってみてください。よもやま、今年から伊勢の神宮様の63回式年遷宮の行事が始まりました。12年前の62回式年遷宮お白石持行事では福岡県神道青年会として、水田天満宮の宮原禰宜さんと私で県内の方々180名という大所帯の引率を担当しました。参加者でお白石を乗せた奉曳車を綱で引くときは「エンヤ!エンヤ!」と威勢の良い掛け声がなされます。この掛け声を聞くと本当にグッと力が湧いてくる感じがしました。神宮様の式年遷宮は20年毎に行われます。その間に33のお祭りや行事があるそうです。神宮様にご参拝を予定される方は是非行事に合わせてご参拝くださいね。

◎神主さんたちから聞いた神道奇談◎神様のお食事をお供えすることをお日供(おにっく)と言います。お日供をして、夕方におさげすると瓶子(へいし)に入れていたお酒の分量が増えていた。

では皆様日々お健やかにおすごしくださいませ

​神主四方山話

Vol.23

​久留米宗杜 日吉神社

禰宜  久富 貴文

先日、アニメの『岸辺露伴は動かない』の「富豪村」の話を観賞していました。漫画家の露伴先生と編集担当者の泉京香が山奥の富豪村に行く話でした。富豪村はマナーにとても厳しい場所であり、そこで、“マナーは正しいか正しくないかのどちらかです。”という台詞がありました。利用マナーがちゃんとしているかを監視されるやりとりが続きました。観賞終わって、マナーは知っているか知らないかにもよるものだなぁと思いました。次の日、我々の作法で使ったことがないし、使っている場面に遭遇したこともない座り方のこと思い出しました。亀居(かめい)や割座という名称の座り方。お尻を床にペタンとついて足をM字のように曲げる座り方。現在の我々の作法の教科書をペラペラとめくっただけでは掲載箇所がない気がする。そこで、明治29年発行の教科書を見てみた。挿絵つきで亀居と書いてあり、私の言葉で挿絵を説明すると足先を外側に向けお尻をその間に置くように説明できる。前後の文章にも亀居と書いてあった。しかし、これは亀居でなく跪居(ききょ)なんじゃあないかと思ったが、亀居を(ききょ)と読ませたかもしれないし、まだ先生に確認していない。マナーや作法って難しいですね。

​神主四方山話

Vol.22

​久留米宗杜 日吉神社
禰宜  久富 貴文

長い歴史が続く神社で働く人たちは「江戸時代」は最近という認識だと思う。私も少し前くらいに思っている。「江戸時代」などの「〇〇時代」の〇〇の部分について、時代区分には平安京の平安時代・鎌倉の鎌倉時代など政治・文化の中心地の地名が使用されているので、今は東京時代。あるいは江戸と東京は同じ場所という見方から江戸東京時代。そうなると江戸時代は今も続いているのでは。よもやま。江戸時代の神主組織や神主家のルールや法度について、その一部をあげると、武蔵国の栗原家では『礼儀正しく、内外清浄に仕り、麁略(そりゃく)なる躰にて社参仕らざること』、同じく武蔵国の勝呂家では『賭勝負に携り、乱酒口論、不身持たらざること』、または備前国の神主の家に生まれた黒住宗忠は『誠のみちに入ながら心に誠なきこと』などを戒め、敬神はもちろんのことですが、まずは自分たちが身を正しくしなくてはならないと定めていました。装束をつけ神様に拝する時は、同じく礼儀正しく心身を正してお参りしなくてはと心がけています。コラムを書きながら、一日一善、一日一笑いも必要だなぁと思う神主でした。

では皆様日々お健やかにおすごしくださいませ。

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顧問弁護士:ことまる法律事務所
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